2012/09/17.Mon

FS論 -Dynamicsのリプライに寄せて-

昨日、というか今日の深夜2時ころ、ツイッターでは少しではあるがbonkuraに関するTLが出来ていた。そのTLでは「初心者がbonkuraの上手さをを理解できないのが悲しい」などといったツイートがちらほら見られた。なるほど、確かに初心者のコメントには「迫力がない。Menowaさんの方がずっとうまい」などといったようなものがあった(YouTube、「bonkuraさん ありがとう」のコメント参照)。しかし実際bonkuraのFSに迫力があるとは言い難い。そこでその初心者のコメントに同意するような旨のツイートをしたところ、フォロワーの一人であるDynamics氏からリプライが来た。

「難しいことをしようが手元でやらなければ難度は分からない上、視覚的なバランスが無ければいい動画ならないにも関わらず難度が評価の大半を占めるのは理解に苦しむ。私は動画を見始めて数秒で既に大部分の判断できているのではないかと思うのですが」

氏によれば、これはbonkuraの話題に対するリプライではあるが、bonkuraに関してではなくFS一般論に関する意見とのことである。今回は氏のリプライに即する形で、おもに「FSの難易度とその評価」に関して私の考えるFS論を述べていきたい。
論を進める前に自分の立場を明らかにしておくが、私はDynamics氏とほぼ同様の立場である。
まず氏の一文目で暗示している命題に触れたい。すなわち「難度が評価の大半を占めるのは」正しい評価として妥当か否かである。
 現在開催されているJEB Tournament 2012(以下JEBT)では審査基準が明示されている。その本選概要にも

・パス系難易度
・アラウンド系難易度

の二項目があるように、難易度がFSの評価に影響するのは明確である。
 「なぜ難易度が高いFSは評価をもらえるのか」ということに関して特に述べる必要はないだろう。反社会的行為を除いて、「他人に出来ない難しいことが出来る」ことは、ペン回しに限らず、大抵のことにおいて評価され、尊敬されるものである。

 しかしDyanamics氏が問題としているのは難易度が評価の「大半」を占めることに対する疑問である。つまり難易度に関してある程度の評価はいいとしても、それを重要視していいのかという点である。
 ペン回しにおいて難易度の高い技、いわゆる大技と呼ばれるものにはスプレッド系統、バックアラウンド系統が挙げられる。エアリアルもあるが、スプレッド、アラウンドの一部と考えていいだろう。
 「難易度の高い技はある程度は評価される」が、Dynamics氏をはじめとするその他のスピナーのように、それを再重要視する意見は少ない。それはスプレッド、アラウンド、どちらの系統で繰り出すにしても、大技をやる以上弊害が出てくるためである。では大技をやる上での弊害とは何か。その大技を行っている間、ペンの回転方向と、手全体の運動が常に一定であることである。ちなみに誤解を招いて欲しくないのだが、「手全体の運動」とは細かい指の動きのことまで指すわけではない。

 FSでは、我々は決められた角度から、目まぐるしく回るペンの動き、回転方向が変わり、さらにそのペンを動かしている手、瞬間瞬間で変化する指の動きを見ている。FSを見ているとき、たとえスピードがあったとしても何の技をやっているのか把握できるのは、アングルから、ペンの動き方、手、指見ているからである。この四要素がFSを決めていると言って良い。ここでは審査基準や、評価の観点などといった技術的要素と区別するために「FSの基本四要素」と呼んでおく。
 しかし大技ではこの要素のうち、ペンの動き方、手、指がほぼ固定されてしまう。スプレッドでは反時計回りにペンが回り、手は基本的に上下、前後にしか動かず、同軸スプレッドなら尚更固定される度合いは強まる。私はこれが大技を評価しづらい原因であると考える。大技を連続で行える技術力は評価できたとしても、その三要素が固定されたままのFSは見ていて飽きるのである。「またスプレッドか」と見る人に思われたが最後、生まれる驚きは少なくなる。そのため構成力、独創性といった点で高評価をもらうことは難しくなる。
 大技に頼る人は大技ができる技術力さえあればFSが完成するし、当然大技を好む人もいるため一定の評価はもらえる。しかし、「ただ大技をやればいい」ではさらに上手いFSを組もうとしても難しいだろう。きつい言い方になるが「大技しか能がない」ということになる。
 

 少し脱線した部分もあるかもしれないが、読者の方にはご容赦いただくことにして、ここでDynamics氏の意見に戻ってみる。

「難しいことをしようが手元でやらなければ難度は分からない上、視覚的なバランスが無ければいい動画ならないにも関わらず難度が評価の大半を占めるのは理解に苦しむ。私は動画を見始めて数秒で既に大部分の判断できているのではないかと思うのですが」

一文目、「手元でやらなければ難度は分からない上」とあるが、確かに難易度の度合いを上手さにどの程度反映させるかは非常に難しい問題である。これはその技を習得している他のスピナーがどれほどいるかに関わってくると思われる。ペン回し最小単位の技はフェイクトラダーであるが(これは私の完全な主観であるが)、これはスピナーでなくとも、一般人に教えればその場でできる技であろう。その場でできる=簡単=難易度は極めて低いといえる。ではスパイダースピンはどうか。現在出来る人は少数であろう。このように、難易度の度合いは出来る人がどれほどいるかで決めるしかない。ちなみに「やろうとしないだけで出来る」は「出来る」に含まれる。ただし、正確に「出来る」人数を把握することは難しいため、仮に難度のランキングを作るとしても、大凡のランキングしか作れないであろう。

 一文目後半は私が既に述べた意見とほぼ一致している。「視覚のバランス」とはFSの四要素のことである。

 二文目ではDynamics氏独自の意見が述べられている。

「動画を見始めて数秒で既に大部分の判断できている」

 以下は私の経験上であるが、見始めて数秒で判断出来るFSの技術的要素とは「滑らかさ」「安定感」「技の習熟度」だと考える。確かにこの技術的要素はそのFSを評価するうえでの大枠、その人の大凡の実力を決めていると言ってもいい。CVで審査するとき、初見でFSを見るときなどはこの要素を、無意識にでもまず見ているのではないだろうか。この三つの技術的要素は上手いFSを作るための必須条件であろう。当然のことであるが、数人を切らなければならない、大会で勝敗をはっきりさせなければならない、FSの評価を頼まれている、などといった場合はさらに細かく見、また全体のバランス、構成がどうであるか見る必要がある。しかしDynamics氏の「大部分の判断」が間違っているわけではないことをここに強調しておく。

―――
以上、Dynamics氏のリプライに即する形で持論を述べてきた。なるべく早い返信をしたかったために、まだまだ考えの進んでいない点も多く、論の破綻、論点のズレなどがあるかもしれない。その際は遠慮なく指摘していただきたい。ツイッターでもいいが、出来ることならコメント欄にしていただけると助かる。ブログや掲示板に書いてそのURLをコメントに貼り付ける形でもいい。様々な意見を待っている。
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